電験3種の資格取得後から独立開業するまでの流れ
電験3種の資格を目指す方の中には、将来的に独立して個人で電気主任技術者として働きたいと考えている方も多いと思います。
「電気主任技術者の年収はどれくらい?」の記事でも少し触れておりますが、独立して個人で電気主任技術者として仕事をしたほうが、企業で正社員として働く場合と比べ、収入面も差が出ますし、何より時間が自由になるため、非常に魅力があります。
ただし、資格さえ取れば誰でも独立開業出来るというわけではなく、いくつかの条件をクリアする必要があります。
電気主任技術者として独立するための条件
①電気主任技術者としての実務経験 |
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自家用電気工作物の工事、維持及び運用に係わる実務経験で、免状取得以前の期間の1/2と、免状取得後の期間の和が以下となっていること。
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②経済産業省による認可を得ていること |
経済産業省より保安管理業務外部委託承認(電気主任技術者としての実務経歴の証明)を得る必要がある。 |
電気主任技術者として独立し仕事をする場合、まず実務経験が必要になってきます。
上記①で記載している通り、電験3種の場合は最長の5年で、二種、一種と上がるごとに必要な実務経験年数は短縮されます。
で、実務内容としては「自家用電気工作物の工事、維持及び運用に係わる実務経験」とあるため、必ずしも電気主任技術者として選任されていた期間という訳ではありませんので、類する業務を今まで行っており、それを所属会社が証明さえしてくれればクリアすることが出来ます。
で、問題なのが②の経済産業省の認可です。
独立して電気主任技術者として仕事を行う場合、保安管理業務を外部委託という形で行うことになりますが、この業務形態で仕事をする際は、経済産業省に申請を行う必要があり、そこで申請者自身の実務経験を含めた資格要件の確認が入ります。(1件目の外部委託の契約を申請する際に行われ、2件目以降は契約の申請のみ)
この確認については面接方式で行われるのですが、これがまぁ、ちょっとやそっとじゃ通らないようです。。。
自身が行ってきた実務に関する細かな質問や電気主任技術者としての知識的な部分を突っ込んでこられるため、そこで回答に詰まったり誤った見解を行った場合、その面接はNGとなりまた再審査という形になってしまいます。
この審査を1回でパスする方は結構マレらしく、大体2~3回目でやっと承認してもらえるようです。
まさに電気主任技術者の関所といったところでしょうか。
この2つの条件をクリアして初めて電気主任技術者として独立することが可能となりますが、では未経験の状態からどのような段取りを踏めばよいかを次に解説していきます。
電験3種合格後の独立までの流れ
①電気主任技術者としてキャリアが積める企業に就職・転職をする
もうこれは単純に実務経験を積むしかないので、募集要項を確認し、専任の電気主任技術者として高圧受電設備の点検・保安業務が行えるところ、もしくは電気主任技術者の補佐として実務が行えるところを探して入り込む必要があります。
基本的には実務経験者を優遇する傾向にはありますが、実務未経験の電験3種保有者でも採用しているところは多数ありますので、チャンスは十分あると言えます。
なお、この辺は自分であちこち探すよりも大手の転職エージェントに登録し、こういう希望を伝えたうえで探してもらうほうが間違いも少ないでしょう。
就職相談が出来る大手転職エージェント |
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リクナビNEXT |
マイナビエージェント |
DODA(デューダ) |
②提携できる電気保安法人を探す
実務経験が要件を満たす年数積むことが出来れば、ここからは経済産業省の保安管理業務外部委託承認を得るための活動をしていきますが、その前に外部委託として提携してくれる電気保安法人を探す必要があります。
よっぽどのコネがない限り、外部委託先として個人を指名してくれるところなどないと言えますので、保安管理業務外部委託を取りまとめている企業に登録するのが一番の近道と言えます。
なお、中には実務経験を積むところから世話してくれる電気保安法人もあるようなので、その辺は転職エージェントに相談してベストな選択肢を提示してもらうのがよいでしょう。
参考までに東北、関東、中部、関西の電気保安法人が確認出来るURLを載せておきます。
【東北/関東】
電気保安法人一覧(関東東北産業保安監督部)
【中部/関西】
電気保安法人一覧 – 中部近畿産業保安監督部近畿支部
③経済産業省の保安管理業務外部委託承認を得る
ここまでくれば、後は承認を得るために電気主任技術者としての知識、経験が証明できる準備をすればよいのですが、冒頭でも書いた通りかなり手厳しい審査となっております。
複数回のチャレンジを念頭において、ダメだった場合の反省点を次に生かせるように修正して臨むようにしましょう。
なお、電気保安法人によってはこの保安管理業務外部委託承認の対策も一緒になって行ってくれるところもありますので、この辺のフォローもしてくれるところがおすすめします。
道のりは長いが一歩ずつ着実に
このように電験3湯取得後に未経験の状態から独立開業するまで、実務経験を最低5年+経産省の外部委託審査承認を得るための期間(半年くらい)は必要になります。
道のりとしてはかなり長いものとなりますが、ここまで辿り着くことが出来れば一生食いっぱぐれのない仕事にありつくことが出来ますので、まずは着実に実務経験を積むようにしていきましょう。
なお、これから電験3種を目指す方は、こういった選択肢もあるということを参考にしていただき、試験勉強に対するモチベーションをガンガン上げていきましょう!
タグ:保安管理業務外部委託承認, 実務経験, 独立, 電気主任技術者
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もし独立開業した場合、企業で厚生年金、雇用保険のそのあたりはどうなるのでしょうか?
前川さん
管理人(電タク)です。
いつも当ブログをご覧いただきありがとうございます。
ご質問頂いた件についてですが、私のほうでも知識が乏しい部分でしたのでこれを機に色々と調べてみました。
まず、会社員から個人事業主となった場合、「年金」「保険」に関する切り替えが発生します。
■会社員の場合
健康保険/労災保険/雇用保険
厚生年金
■個人事業主の場合
国民健康保険
国民年金
個人事業主となったタイミングで保険に関しては国民健康保険、年金に関しては国民年金に切り替える必要があります。
で、具体的に何がどう変わるかについては以下となります。
・厚生年金の場合:月給与額面の17%前後(企業が半分持つ)
・国民年金の場合:月額15,250円(H26年時点)
・健康保険の場合:月給与額面の17%前後(企業が半分持つ)
・国民年金の場合:地域差があるが大体年間50万前後
国民健康保険、国民年金に切り替えることにより国に対して納付する金額そのものは減額されることになりますが、会社に折半してもらった分を個人が全額負担することになるため、収入にもよりますが、減額幅はそれほど大きなものにはならないと思われます。
ご質問にあった雇用保険などについては、個人事業主になった時点で雇われる側ではなくなるため、基本的には加入できません。
ただし、中小事業主の特別加入などの制度が労災保険に変わるものとなりますので任意で加入することが出来ます。
あと、厚生年金と国民年金では満期(定年)後に支給される金額、支給される条件で結構差があり、厚生年金のほうが優遇されます。
詳しくはこちらのサイトに記載されてましたので参考まで。
http://www.kokumin-nenkin.com/knowledge/kouseinenkin-hikaku.html
で、結論としては、個人事業主になったはいいが低所得の状態が長く続くのであれば、不利になってくると考えられますが、電気主任技術者として個人で行う場合では、記事にも書いてるとおり比較的高所得の部類に入ると言えますので、条件的にはそれほど悪くはならないと思います。
※詳細な計算をしていないためあくまで予想。
なお、付け足しておくと個人事業主の場合、自分で確定申告を行う必要がありますが、節税対策をすれば、会社員時と比べてかなり少ない税金で済む利点もありますので、決して悪いことばかりではないかと。
以上、素人なりに調べて書いてみましたが、キチンとまとめるのが結構なボリュームになりそうなので後日記事にまとめてアップしたいと思います。
独立開業をしてみたいのですが、自分には無謀な気がして勇気が出ません。
客観的な意見をお伺いしたいです。
・所有資格 電験3種 電工1種 エネルギー管理士(電気)
・保安法人の現場職4年 ビル(2000KVA) の選任の電気主任技術者7年
・学歴 高卒
・年齢 42歳
今まで、契約社員で年収400万円ぐらいでしたので、できれば同水準の年収を目指したいです。
図々しいお願いですが、よろしくお願いいたします。
すみさん
管理人の電タクです。
いつも当ブログをご覧いただきありがとうございます。
独立開業を目指されてるとのことですが、ご経歴的には十分お強い感じかと思われますので独立(個人事業主としての電気主任技術者)した立場で業務提携をしてくれる保安法人などに話を伺ってみるのがよいと思います。
以前、取材させて頂いた日本テクノ様などはそういうスタンスでの働き方が出来るようで、経産省の認可を取るまでのサポートもしているようです。※定期的に説明会もしてるとその時仰ってました
https://www.den3-navi.com/interview-n-techno-3519/
とりあえず複数社にお話を伺ってみて一番満足のいく選択をされるのがよいかと思いますよ。
ありがとうございました。
早速、日本テクノさまへ問い合わせてみたいと思います。
情報を集めている段階ですので、またご質問させていただくかもしれません。
それでは失礼いたします。