電験3種の合格率が低すぎるワケ
電験3種の資格試験のことをちょっとでも調べたことのある方であれば、まずその合格率の低さに目が行くと思います。
電験3種以外にも難易度の高い電気系資格はありますが、それらでも合格率が20%前後とかあったりしますが、電験3種に関しては近年では合格率が1ケタ%があたり前のような状態となっております。
この合格率が異常に低い原因について、試験の難易度以外の切り口で私なりに探ってみましたので順を追って見ていきましょう。
まずは電験3種の合格率の推移から
まず、電験3種の合格率がどれ位なのかをご存じない方のために、試験制度が変更された平成7年から現在までの合格率の推移を見ていきましょう。
年度 | 申込者数 (人) | 受験者数 (人) | 受験率 | 合格者数 (人) | 合格率 | 科目 合格者数 (人) | 科目 合格率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
平成7年 | 50,997 | 39,077 | 76.6% | 4,160 | 10.6% | 23,970 | 61.3% |
平成8年 | 62,759 | 51,895 | 82.7% | 8,646 | 16.7% | 26,970 | 52.0% |
平成9年 | 70,362 | 59,025 | 83.9% | 7,982 | 13.5% | 18,403 | 31.2% |
平成10年 | 65,836 | 54,386 | 82.6% | 5,804 | 10.7% | 18,203 | 33.5% |
平成11年 | 63,594 | 52,358 | 82.3% | 6,238 | 11.9% | 24,622 | 47.0% |
平成12年 | 67,354 | 55,767 | 82.8% | 6,703 | 12.0% | 17,068 | 30.6% |
平成13年 | 65,604 | 53,446 | 81.5% | 6,490 | 12.1% | 21,761 | 40.7% |
平成14年 | 66,867 | 53,804 | 80.5% | 4,364 | 8.1% | 15,477 | 28.8% |
平成15年 | 67,966 | 51,480 | 75.7% | 5,336 | 10.4% | 15,583 | 30.3% |
平成16年 | 59,919 | 44,661 | 74.5% | 3,851 | 8.6% | 15,140 | 33.9% |
平成17年 | 56,676 | 42,390 | 74.8% | 4,831 | 11.4% | 16,423 | 38.7% |
平成18年 | 54,611 | 41,133 | 75.3% | 4,416 | 10.7% | 12,858 | 31.3% |
平成19年 | 55,234 | 40,608 | 73.5% | 3,647 | 9.0% | 11,939 | 29.4% |
平成20年 | 54,509 | 40,140 | 73.6% | 4,361 | 10.9% | 15,350 | 38.2% |
平成21年 | 64,259 | 47,593 | 74.1% | 4,558 | 9.6% | 17,140 | 36.0% |
平成22年 | 68,471 | 50,794 | 74.2% | 3,639 | 7.2% | 14,240 | 28.0% |
平成23年 | 67,844 | 48,864 | 72.0% | 2,674 | 5.5% | 13,245 | 27.1% |
平成24年 | 68,484 | 49,452 | 72.2% | 2,895 | 5.9% | 14,741 | 29.8% |
平成25年 | 69,128 | 49,575 | 71.7% | 4,311 | 8.7% | 12,381 | 25.0% |
平成26年 | 68,756 | 48,681 | 70.8% | 4,102 | 8.4% | 14,625 | 30.0% |
平成27年 | 63,694 | 45,311 | 71.1% | 3,502 | 7.7% | 13,389 | 29.5% |
平成28年 | 66,896 | 46,552 | 69.6% | 3,980 | 8.5% | 13,457 | 28.9% |
平成29年 | 64,974 | 45,720 | 70.4% | 3,698 | 8.1% | 12,176 | 26.6% |
平成30年 | 61,941 | 42,976 | 69.4% | 3,918 | 9.1% | 12,335 | 28.7% |
令和元年 | 59,234 | 41,543 | 70.1% | 3,879 | 9.3% | 12,335 | 32.1% |
令和2年 | 55,408 | 39,010 | 70.4% | 3,836 | 9.3% | 11,686 | 30.0% |
新制度開始から平成13年までは合格率が10%を切ることがありませんでしたが、以降については下降傾向にあり、ここ12年間は10%を切るのが当たり前のようになっております。
この結果だけを見ると、これからもどんどん合格率が低下するようにも見えてしまいますが、この合格率の低さの原因は、受験する方々の属性に起因しているのでは?と私は考えております。
その辺りを次から解説していきます。
受験制限がないという罠
以前、「電験3種の試験概要」の記事でも軽く触れておりますが、電験3種には受験制限がないため、いわば万人に対して門戸が開かれております。
国家試験であれば、受験資格として学歴を問うものや実務経験を必要とするものなど、一定の条件を満たさないと受験することが出来ないものもある中で、誰でも受験することが出来るというのは非常に良い試験制度だと言えます。
ただし、これは他の受験制限がない資格試験にも共通して言えることですが、受験制限がない資格試験については知識・学力の乏しい受験生が多い傾向にあります。
学歴や実務経験を受験制限として設けている資格試験であれば、何らかその分野に精通している人、知識として取り込んだうえで受験する方が多い傾向にありますが、受験資格が完全フリーの資格の場合は業界知識も基礎学力も関係ないため、受験生の属性が雑多なものになってきます。
例えば、東京大学の入学試験の合格率は25%前後となっておりますが、これはセンター試験での足切り点をクリアした人が受験した結果の合格率となっているため、いわばきっちり準備した人達が受験した結果の合格率であり、もしセンター試験がなかったら合格率は天文学的な数値になるでしょう。
まぁ、東大の例は極端ですが、ようはそういうこと。
この合格率自体がきっちりと準備した方々のみの合格率ではないことは明白。
じゃぁ、「本気で勉強してきた人の合格率はどれくらいなん?」という話になってきますが、さすがに本気か本気じゃないかの人数までは公表されておりませんが、近いもので言えば科目別合格者の人数と合格者の人数の合計が、本気で電験3種の試験対策をしてきた人数だと言えるんじゃないかと思います。
それらを加味した場合、直近11年間の本気受験生の合格率は以下のようになります。
年度 | 科目合格者+試験合格者 | 合格率 | 科目合格者 | 試験合格者 |
---|---|---|---|---|
平成22年度 | 17,879人 | 14,240人 | 3,639人 | 20.35% |
平成23年度 | 15,919人 | 13,245人 | 2,674人 | 16.80% |
平成24年度 | 17,636人 | 14,741人 | 2,895人 | 16.42% |
平成25年度 | 16,692人 | 12,381人 | 4,311人 | 25.83% |
平成26年度 | 18,727人 | 14,625人 | 4,102人 | 21.90% |
平成27年度 | 16,891人 | 13,389人 | 3,502人 | 20.73% |
平成28年度 | 17,437人 | 13,457人 | 3,980人 | 22.83% |
平成29年度 | 15,874人 | 12,176人 | 3,698人 | 23.30% |
平成30年度 | 16,253人 | 12,335人 | 3,918人 | 24.11% |
令和元年度 | 17,197人 | 13,318人 | 3,879人 | 22.16% |
令和2年度 | 15,522人 | 11,686人 | 3,836人 | 24.71% |
さすがに電験2.5種と言われていた平成23、24年に関しては低い合格率となっておりますが、それら以外はおおむね20~25%となっております。
あくまでも私の推論なので保証なんか出来たもんではありませんが、本気で取り組めばこれ位の合格率になってくるかと思いますよ。(あくまでも参考程度で。)
試験形式が5肢択一式であるがゆえの罠
あまり試験対策をしてこなかった方々も受験されていることが影響し、全体の合格率が下がっている説明をさせて頂きましたが、わざわざ受験会場まで足を運ぶ理由のひとつに試験形式が5肢択一式であることも起因していると考えられます。
過去問を4科目通しでやったことがある方ならわかると思いますが、全く理解不能な問題だらけでもマグレで正解したりすることがちょくちょくあります。
確率的に考えても5問に1問は正解するので、20点(法規なら30点)は取れる計算になり、これがうまく重なれば、稀にですが60点を越えることもあるんですよね。
そう、あわよくば合格するんじゃないの?という錯覚をもたらします。
※私自身がそうだったように・・・
おそらく電験3種の試験形式が記述式であれば、受験人数自体今よりも下がっていたと思いますが、選択方式であるが故に試験対策をしていない方にもかすかな希望を与え、電験3種受験生として繋ぎとめる要因になっていると考えられます。
ただし、所詮は運。
試験後には厳しい現実を突きつけられることになります。。
公表されている合格率は参考程度に留めておこう
電験3種の合格率が低い理由をツラツラとご説明させて頂きましたが、結論として言えることは、「あまりアテにならない」ということ。
合格率が高かろうが低かろうが、ようは各科目で60点以上得点出来れば鉄板で合格出来る試験なので、これから電験3種を目指す方は「いかにして60点を越えられるか」という点に着目し望んでもらえればよいかと思います。
で、晴れて合格した際は「オレ、合格率1ケタ%の試験に受かったぜ!(キリッ」と全力で自慢するようにしましょう。
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